東京修道館は、私の祖父・中村彦太が大正7年に創設以来、剣道を通じて心身ともに剛健な青少年を育成し将来の我が国を担う人材の輩出に努めてまいりました。現在の我が国は、政治、経済、教育のいずれの分野においても混乱をきたし、長期的な展望のないままに日和見的な方針が立てられております。特に教育は我が国の将来を大きく左右する根源的な問題であるにも拘わらず、大きな指針のないまま受験勉強主体の学校教育と躾教育の欠如した家庭教育が自分本位で他人の迷惑を顧みない利己的な青少年を生んでいます。修道館では3歳からの少年少女をお預かりし、挨拶、返事、言葉遣いなど日常の生活のなかで活かせる剣道を目指しています。また先輩が順々に後輩の面倒をみながら縦の人間関係を学び、上級生になると厳しい稽古の中から忍耐力や克己心が自然に身につきます。青年の部では主として社会人の皆さんが稽古を通じて体力と気力の充実を図り、高段者は剣道の極意を学ぼうと努力しています。私としてはひとりでも多くの方に剣道の精神的な部分を学んでいただき、礼儀正しく逞しく他人に思いやりのある青少年が修道館から巣立って欲しいと願っております。

東京修道館館長 中村福義